どんなに優れた鋼材でも切る度に鋭さを失っていきます。きれいに仕上げ研ぎを行ったエッジの先端は
10ミクロン以下になっているといいますから、ものに食い込んで滑り破断効果(ものが切れる原理)を起こして
いく際、どうしても急速に摩滅していくのです。
木彫を30分行ったら、青棒を練り込んだ皮砥でタッチアップします。(皮砥はカミソリのような
切れ味を与えるときにはどうしても必要)このタッチアップにより、かなりの切れ味が回復しますが、
何度も繰り返すと刃先が丸くなってきます。そうなると、即、研ぎです。
下の画像は普段よく使う砥石で、上段右からホワイトアルミナ系の300番、1500番、6000番。

この三つでたいていの研ぎは出来ます。特にATSあたりを研ぐときには合成砥石は必需品です。4番目の
オレンジ色のが大変に優れもので、右の二本とともに研ぎも行う包丁店に勧められたもの。
シャプトンという商標名がついています。全体に硬質な感じで非常に優れた研削力があり、刃こぼれ
を起こしたときなどよく使うため、研ぎ減りして一センチほどの薄さになってしまいました。
プロはいいものを知ってますね。これらをホームセンターで見かけたことはありません。
その隣はダイアモンド砥石。金属面に1ミリ以上の厚さで蒸着されたものを求めました。これならすぐに
ダイアが剥がれ落ちてしまうことがありません。鉄の刃物を研ぐ時には、サファイアと同等の硬さをもつ
アルミナ系の砥石を使うのであまり用事はありませんが、セラミックの刃物を研ぐ際には必需品です。
余談で、ボーカーのセラミックナイフを一本持っています。あんなものをよく売りに出してるなと思い
ます。ほとんど切れませんよ。京セラのセラミック包丁はもうちょっとまし。
下段の一番右と三番目の小さいのは内曇砥。(うちぐもりと:京都の鳴滝でしか産出しない自然石の砥石)
高価でした。この砥石で研ぐと鉄の組織を視覚化できます。刀剣の研ぎ師は車より高いのを求めるそうです。
この手の砥石の値段は天井知らずで、ベンツより高いのもあるそうです。
その横は同じく自然石の仕上げ砥とアーカンサスオイルストーン。自然石の砥石は、内雲砥を除き、
アルミナ系の砥石がある限り使う必要を感じません。特にアーカンサスなど高価なわりに全くくだらない
砥石です。研削力が弱く、やたら硬い。オイルなどを使う研ぎは、水の国である日本では全く必要外の方法です。
木部にオイルが染み込んで汚くなるし、手やまわりも汚れます。
下段左の真っ白なのがホワイトアルミナ4000番。これは大変いい。チョークみたいで、下手をすると刃物
が突き刺さります。柔らかいのに、軽くこするだけで砥面に真っ黒な筋が残るぐらい研削力があります。
小さくなってしまったので、この砥石を新しく求めたいのですが、どこにも売ってない。東急ハンズで以前売って
たのですが、今も置いてるかな。