「動くな。」
冷たい工藤の指が服部の喉元を滑った。
服部は苦笑。
「動け、言われても、動けへん・・・。」
もう片方の手で、服部の腕を軽くつかんだ工藤の。
その感覚だけで服部は、自分がそこに立っていることすらわからなく なりそうだった。
ただ、工藤がいる。

明かりの消えた部屋に足を踏み入れたときから
服部には全て(それは服部がわかる範囲での全てなのだが)が、 逆に鮮やかに見える気がした。
滅多なことでは電話などしてこない工藤新一からのコール。
来いとは言わずに、時間はあるか?と訊ねた口調。
論理的な説明なんかいらない。
そこから導き出される答えは一つしかない。

・・・傷ついていると知っているから。

暗闇の中で、そっと目を閉じて工藤だけを感じる。
指は、喉から顎、頬を撫で、最後に唇に触れた。
「・・・工藤。」
唇で冷たさを感じながらも、名を呼んだのは、そうすることで 少しのぬくもりを与えられるかも知れないと思ったから。
「・・・動くなよ。」
言葉だけで、抵抗(と言っていいのかはわからない服部の動き) は、全て工藤のものになった。

・・・いつだって、境界線に立っている。
ざわめきの中の、孤独。
正気の中の、狂気。
現実の中の、夢。
冷たさの中の、熱。
向こう側に行ってしまいそうな自分を。相手を。
ひとりよがりだと知っていて、ひきとめたいと願う。
同じ場所に、居たいと。

「・・・工藤。」
もう一度名を呼ぶことで、工藤のかけた言葉の呪縛が、片腕だけ解けた 気がした。
服部は手探りで工藤に触れる。
そして。
瞳からこぼれ落ちた僅かな、だけど暖かい
・・・優しさの欠片を・・・そっと、拭った。



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□□ 同盟員No.6 さつきりょうサマより □□

1行目から工藤さんにやられました…!格好良すぎですねッ
たった一言で、そういう「工藤新一」を現してしまえるのがすごいです。
今回は無理言って載せさせてもらって有り難うvv
次は新蘭ダークなんてどうですか?(笑)

2001.05.11up